これからどうする、どうなる!? アメリカで!

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なくして知る保険の有難さ

日本の健康保険の仕組みとアメリカの健康保険の仕組みは全然違う。 こちらに来た当初は仕組みを理解するのに、本当に時間がいった。

日本は面積自体が狭いから可能なのかも知れないけど、社会保険であろうと、国民保険であろうと、共済であろうと、ちゃんと保険証を持っていれば、自己負担率はそれぞれ違うかも知れないけど、とりあえずどこの診療所、病院でも見てもらえる。 花粉症の症状が出そうだから、耳鼻科と眼科に行って薬を出してもらおう、と今日思ったら今日診てもらえるが普通、だよね?

ところがぎっちょんちょん、アメリカではそうは行かない。 アメリカに来て2年目の春にひどい花粉症になってしまった私はとにかく耳鼻科に行きたくて、電話帳に載っているアレルギー科全部に電話したら、回答は全部同じだった。
「初診の方で予約できる一番早い日は来月の○○です。」
そんなぁ~、ひどいのは「今」なんですよーーー。 一ヶ月先にはもう治ってるかもしれないじゃん! アメリカの医療サービスはどうなっとんじゃ? と思った瞬間だった。 それでも食い下がって「とにかく今ひどい状態なんです。 診てもらえませんか???」と聞いたら、「うちは予約制ですから、ウォークインクリニックにとりあえず行ってみたらどうですか?」と言われた。 なんじゃそれ? と思って、会社からもらっていた分厚い保険の本を取り出したら、ウォークインクリニックがいくつか出ていた。 その一つに行ったら、なんのことはない、日本の病院とか診療所みたいだった。 そこで診てもらって薬も出してもらえた。 「なーんだ、ここにいつも来ればいいんじゃん。」と思った私が浅はかだった。

その次の年、会社の保険が変わって、Primary Care Physician (いわゆる家庭医)を指定しなければならなくなった。 それも、保険会社が指定する(契約している)医師のリストから選ばなければならないのだ。 家族が長年お世話になっているお医者さんがリストに入っていればいいのだが、そうでなければ別の医者を指定するか、別料金を払って、いつもの先生を指定するという、いかにも保険会社が儲かるようにできているのがアメリカの保険制度だ。 そして、あ、これは眼科だ、とか産婦人科で診てもらいたい、と思う時でもまずはこのPrimary Care Physicianに診てもらわなくてはならない。 症状が明らかだったり、Primary Care Physicianがすぐに診られない場合は電話で連絡をして眼科なり産婦人科なりをリストから紹介してもらうというまどろっこしい手続きを踏まなくてはならない。 紹介先の専門医のところでも紹介状がないと手続きしてくれないところもあったりする。

ここでウォークインクリニックは非常時(医療機関が休みや閉まった後)以外は利用できなくなり、もし日曜日にウォークインクリニックに行ったとしたら、必ず自分のPrimary Care Physicianに月曜日電話連絡をしなければならなくなった。 また私は時々出張があったのだが、アメリカの保険はたいてい保険が効く地域(普通は自分が住んでいる州内。 でも保険にもよりけり)を限定している。 出張先で何かあった場合は保険が効く地域で医者にかかるより、かなり高い金額を自己負担しなければならない。 いつもこの差額をどうするか、会社が持ってくれるのかどうかを出張に出る前に確認しておかなければならなかった。

それから、日本で救急車のお世話になっても“救急車代”は取られないが、アメリカの救急車は民間会社がやっているので救急車のお世話になったら、とんでもない費用が自分にふりかかってくるらしい。(実際にまだお世話になってないので、いくらかは不明)保険でカバーされる場合は「生命に危険が及んでいる場合」のみ、と説明会で保険会社の人が力説していた。 でも、救急車を呼ぼうか、というような切羽詰まった状態で、「これは生命に危険が及んでいるのか?」なんて考える余裕は普通ないから、結局は保険会社の査定にまかすしかなくなってくるのである。 この間、ここアルバカーキで警官が撃たれ、別の警官が救急車を呼んだ。 到着した救急隊員は誰がこの救急車代を支払うのかということで、負傷した警官そっちのけでその別の警官と悶着となり、搬送しないで現場を去ったという事件があった。 結局は消防の救急搬送車を呼んで負傷した警官は一命を取り留めたらしいのだが、全く救急車まで金次第という有り様。

歯はこれまた別保険。 普通の健康保険は歯をカバーしていないので、別に保険を買う必要がある。 普通の健康保険、と歯の保険を合わせると独身で被扶養者がいない場合でも月$200ぐらいの掛け金を取られる。 でも働いている人は普通会社がいくらか持ってくれるし、会社によっては喫煙しない、飲酒しない、定期的に運動する・・・などなどライフスタイル審査で良い結果が出たら、掛け金自体が下がるばかりでなく、自分からの拠出率が低くなるなど、健康に対して努力している人には公平な仕組みを持っているところもある。 マイケル・ムーアがアルバカーキに来た時に聞いた講演で、「今の仕事に満足していない人は全体で70%ぐらいいるが、やめない理由のトップは保険がなくなるのがいやだから。」と言っていて、「外国には国が保険制度を持っているところがあるけど、われわれアメリカ人から見たら夢のようじゃないかい?」なんて言っていた。 日本も国民保険があるから、夢のような国なんだろうか。 でも確かに、政府から出る無料の健康保険に入れるほど収入が少なくない、けどそのラインぎりぎりって言う人が一番アメリカでは悲惨だ。

ヒラリー・クリントン上院議員がファーストレディだった頃、この国民保険に似た制度を導入しようとしたけれど、保険会社のロビイストに徹底的に叩かれたんだと。 とかく、アメリカは“会社”が儲からないことはできないようになっているのかも知れない。 4年後の大統領候補として民主党からは彼女の名前も上がっているらしいけど、保険制度はどうなることやら。 日本の保険が懐かしー。

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by soylista_y_bonita | 2005-02-01 18:07 | アメリカの医療